コウモリを勝手に「駆除」できない理由
各ページの §10 で触れている内容を、もう少し詳しくまとめました。 結論だけ先に書くと、追い出しと侵入口の封鎖は許可なくできる、捕まえる・傷つけるのは許可が要る、です。
1. コウモリは鳥獣保護管理法の保護対象
野生のコウモリは鳥獣保護管理法(正式名称:鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律)の対象です。 この法律の「鳥獣」は鳥類と哺乳類に属する野生動物を指し、哺乳類であるコウモリも含まれます。 環境省は、鳥獣は狩猟による場合を除いて「原則としてその捕獲、殺傷又は採取が禁止されています」と明記しており、 許可なく捕獲・殺傷すると罰則の対象になる場合があります。
家に住み着くのは、主にアブラコウモリ(イエコウモリ)という体長5cm前後の小型のコウモリです。 市街地・住宅地にすむ日本で最も身近な野生哺乳類のひとつで、蚊などの小さな虫を一晩に体重の3割ほども食べる、 益獣の側面を持つ生きものでもあります。
2. 許可なくできること・できないこと
3. 時期の制約 ── 法律と生態はつながっている
アブラコウモリは6月下旬〜7月はじめ頃に出産し、幼獣は生後1ヶ月ほどで飛べるようになります。 また11月〜3月は家屋や建物の中で冬眠し、この間は追い出してもうまく出ていきません。 北九州市は「冬眠時期及び夏の出産時期は追い出しが難しいため、それ以外の時期に対策を行う方が効果的です」としています。
つまり、対策の適期は4月〜6月中旬と9月〜10月です。 時期を誤った封鎖は、「できること」のはずの作業を「閉じ込め(殺傷リスク)」に変えてしまいます。
4. よくある質問
Q. 市役所・保健所はコウモリを駆除してくれますか?
個人宅の駆除・捕獲を自治体が行うことは、基本的にありません。 当サイトで確認した自治体・県はいずれも「駆除や捕獲等は行っていない」と明記しており、 対処方法の案内・助言と、有料の防除業者(各県のペストコントロール協会など)の紹介が中心でした (つくばみらい市・朝倉市・香川県・大津市・横浜市ほか)。業者に依頼した場合の費用は自己負担です。
Q. 補助金はありますか?
コウモリ駆除への補助金制度は一般的ではありません。当サイトで確認した自治体の案内にも補助金の記載はありませんでした。 お住まいの自治体に個別の制度がないかは、市区町村の窓口で確認できます。
Q. どうしても捕獲が必要な場合は?
建物の構造上、追い出しでは対処しきれない場合などの捕獲には、都道府県知事の許可(有害鳥獣捕獲等の許可)が必要です。 窓口は自治体によって異なり、たとえば北九州市は福岡県の担当課を、八千代市は千葉県の地域振興事務所を案内しています。 許可の取得から作業までを個人で行うのは現実的ではなく、実務上は法令を理解した専門業者に任せる領域です。
Q. 知らずに封鎖してしまい、中に取り残したかもしれません
すぐに封鎖の一部を開けて、出ていける状態に戻してください。日没前後に出入りがないか数日観察し、 いなくなったことを確認してから改めて封鎖します。判断が難しければ、自治体の窓口か専門業者に相談してください。
「追い出し → 取り残しの確認 → 1cm以下の網目・材料で侵入口を封鎖 → 清掃・消毒」。 ここまでが個人にも許された対処で、捕獲・殺傷だけが許可の要る領域です。 ただし適期の見極め・全侵入口の特定・高所作業まで含めると、実際には専門業者に任せるのが安全で確実です。 具体的なやり方は自分でできる対策のページにまとめています。
出典:環境省「捕獲許可制度の概要」/環境省「鳥獣保護法の概要」/北九州市「よくある相談と対策【コウモリ】」/つくばみらい市「コウモリを見かけたら」/大津市「ヘビ、コウモリは市で駆除してくれるの?」